Harry Potter

□絶対的独占欲
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「セブルス」
「…ルーピン、何のようだ」

暗い図書館の奥、窓もないそこにセブルスはいた。酷く辛そうに腕をさすっている。
僕が声をかけるとびくりと肩を震わせた。でも僕を見ると安心したような、憎らしそうな顔をする。

「セブルス、体大丈夫?」
「大丈夫なわけないだろう。あいつら、手加減というものを知らないのか?全く、今でも痛い」

今日もセブルスとジェームズ達はケンカをしていた。ケンカ、イジメに近いそれ。
元はといえば誰が悪いのか。
とりあえず、今日は特に激しかったのだ。強い呪文の応酬。近寄れない…いや、近寄ったら自分にも被害がくる。実際逃げ遅れたピーターは保健室行きだ。
先生が止めに来るまで終わることはなかった。罰則が軽かったのは奇跡としか思えない。
そんなこんなでケンカは止まったのだが、参加していた3人、それに少数の犠牲者は軽いとはいえ怪我をする事になる。
大抵は保健室に行ったのに。

「それはセブルスが保健室に行かないからでしょ?」
「ふん、これぐらいは、別に僕の作った薬品でなんとかなる」
「何とかなってないけどね。まだ痛いんだろ」
「な…まだ使ってないだけだ!」
「ふーん」

にこにこなのかニヤニヤなのか分からないけど、笑顔が止まらない。癖みたいにいつも笑ってるからだろうか。
セブルスは悔しそうに、ローブのポケットから薬品の瓶を取り出した。淡い水色の、薬には見えないものだ。
僕はそれをすかさず奪い取った。

「僕が塗ってあげるよ。塗り薬なんだろう?これ」
「遠慮する、返せ」
「ヤダ」
「なっ…」

呆気にとられるセブルスを気にせず、瓶の蓋を開けた。薬独特の匂いが辺りに広がる。

「さ、腕を出して」
「…ぃ、嫌だ」
「君に拒否権はないよ?」
「性格悪いぞ、ルーピン!」
「くす、今さら?」
「…、なに、…?」

小さく呟いた言葉はしっかりセブルスに届いたようだ。驚きに大きな瞳を見開いている。


あれ?セブは僕の裏を知らなかったかな?
いつも分かりやすくしてあげてるのに。

「まぁいいや。ここも塗ってあげる、気づいてない?頬、血でてるよ」
かわきかけの血が切れた頬から滲んでいた。

「嘘だ…、というか知ってたなら早く言え!」
「だって似合ってたんだもん」
セブルスが血を流しているとこを見るの凄く楽しいんだ、とは口に出さなかった。

薬はヒヤリとしていて冷たい。指に掬って取る。
「ほら、目とじて」
「ぅ…」

嫌なら言うこと聞かなきゃいいのに、そう思いながらもセブルスが自分に従ってくれたことが嬉しい。信用してくれているのかと、過信してしまいそうになる。
ぎゅっと瞳を閉じたセブルスはとてもかわいい。

ーまったく、キスでもしてしまおうか。
許してくれる?と心の隅で聞きながら。




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