Harry Potter

□絶対的独占欲
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頬に触れたものは温かかった。いや、生暖かい?そしてぬるりとしていた。

…なにかおかしい。

確かルーピンは薬を塗ってくれる筈だ。

一体…?
強く閉じていた瞳をそっと開いた。近い。

近い?

「る、る…ルーピンっ!!」
「ん?」
「ん?じゃないっ!!近い!何してるっ!!」
「言った方がいい?」

…眩暈がする。
ルーピンは、僕の頬の血を舐めとっていたのだ。口にするのも恥ずかしい。
それなのに、ひとかけらも照れた素振りなく、ルーピンは微笑んだ。
本当にあの、ポッターとブラックの後ろに付いていた人間か?同一人物か?
外面だけそのままで、悪魔と入れ替わったんじゃないのだろうか。
それほどの黒いオーラがルーピンを覆っている。

「大丈夫?」
「大丈夫な訳ないだろう!は、離れ、ろっ…!っう…痛ぃ、から」

ルーピンは引き続き僕の血を舐める。しかも、傷口に舌をあてがってワザと痛くする。
明らかにワザとだ。ニヤニヤが隠しきれていない。
…隠していないのかもしれない、否隠してない。

「こ、このっ」
「ねえ、セブって、痛いの好きなんでしょ?」
「な…!誰が何時そんなこと…!」
「じゃあ気づいてないんだね」

これはもう絶句するしかない。
一体ルーピンは本当にどうしたんだ。頭を打ったのか。出なければ誰かに服従の呪文でもかけられているのか?

心底面白そうにくつくつと笑う。
何ともまあ昔読んだ童話の魔女に似ているものだ。確か、暗い暗い地下室でドロドロの薬品をかき混ぜているんだったな。僕からすれば何が完成されるのかが気になって仕方ないのだが。
ではなく。

「もういいだろう、離せ…というか離れろ」
「嫌だ。君に拒否権はない。言っただろ」
「お前…そろそろ止めないと本気で、」
「君が、僕に何をするの?本気?何で今まで出さなかったの?」

ルーピンは僕が言い終えないうちに、早口でまくしたてた。
そして、僕が口を挟まないことを知るとゆっくりと、わざわざ耳元で囁いた。




「君は、僕のこと、…好きだよね」


低く甘く囁く声は、断言的にそれを告げた。





−まったく、表に出さないようにしてたのに。
滑稽だな、心の奥底で冷静な自分が笑っていた。




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