仁王短編

□猫好きな彼女と
1ページ/4ページ





俺の彼女は、すごく優しい

それに、ある生き物が好きだ

だから、捨てられているのを見ると拾ってしまう



猫好きな彼女と



「ただいまー」
「お邪魔します」

玄関に入ると、何かがこっちへ近付いてくる音がする


「にゃー」
「ごめんね。寂しかった?」
「…お前さん、そいつで何匹目じゃ?」


近付いてきたのは、俺の彼女である名前が抱きかかえている生き物
猫だ


「だって捨てられてたんだよ?」
「だってじゃなか。家ん中、猫だらけじゃろ」

「お父さんとお母さんにはちゃんと許可とったもん!」

名前は、そう言って抱きかかえている猫に頬摺りする


「俺が嫌なんよ」
「どうして?」
「猫ばっか構っちょって俺には構ってくれんじゃろ?」
「そ、そんな事…」
「あるぜよ」

目を泳がせている名前を、わかるように拗ねたようなムッとした感じの表情でじっと見る


「あ!…ほら、玄関で立ち話もなんだし部屋行こう!」

名前はその場の空気が耐えきれなかったのか、話を逸らすため靴を脱いで自室へ向かう


「…はぁ」

俺も、いろいろな思いから一度溜め息を吐いて名前の部屋へ向かった





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ