仁王短編
□猫好きな彼女と
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俺の彼女は、すごく優しい
それに、ある生き物が好きだ
だから、捨てられているのを見ると拾ってしまう
猫好きな彼女と
「ただいまー」
「お邪魔します」
玄関に入ると、何かがこっちへ近付いてくる音がする
「にゃー」
「ごめんね。寂しかった?」
「…お前さん、そいつで何匹目じゃ?」
近付いてきたのは、俺の彼女である名前が抱きかかえている生き物
猫だ
「だって捨てられてたんだよ?」
「だってじゃなか。家ん中、猫だらけじゃろ」
「お父さんとお母さんにはちゃんと許可とったもん!」
名前は、そう言って抱きかかえている猫に頬摺りする
「俺が嫌なんよ」
「どうして?」
「猫ばっか構っちょって俺には構ってくれんじゃろ?」
「そ、そんな事…」
「あるぜよ」
目を泳がせている名前を、わかるように拗ねたようなムッとした感じの表情でじっと見る
「あ!…ほら、玄関で立ち話もなんだし部屋行こう!」
名前はその場の空気が耐えきれなかったのか、話を逸らすため靴を脱いで自室へ向かう
「…はぁ」
俺も、いろいろな思いから一度溜め息を吐いて名前の部屋へ向かった
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