仁王短編

□愛し過ぎた結末
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どうしてこうなっちゃったんだろう

あなたが好きだからこそ、増えていく感情

その感情があなたを苦しめてる




愛し過ぎた結末




「別れよう」

帰り道に、私があなたへ言った言葉
あなたは、その場に立ち止まってしまった


「雅治?」

そんなあなたに気付き、私は声を掛ける


「急にどうしたんじゃ?」
「雅治を苦しめてるから」

「俺を?」
「うん」

そう言って頷くと、あなたはふっと笑った


「名前も苦しんどるじゃろ?」
「私はそんな事…」
「ないとは言わせん」
「っ…」

「互いに同じぐらい苦しんどる」
「…雅治」

「名前がそうしたいならよかよ。それで後悔せんならよか」

あなたはそう言って、私に優しく微笑む



あなたは、いつも自分より私の気持ちを優先してくれるね

出逢った時もそうだった

あなたのさり気ない優しさに私は惹かれたんだ


あなたは優しいから…

束縛を最も嫌っているのに嫌とも言えず、あなたを縛りつけてしまう私の傍にずっといてくれた

だから、私が解放してあげなくちゃいけない

決心はついたよ



「私は、後悔しないよ」

そう言って、真剣な眼差しであなたをみつめるとあなたは「そうか」と言って微笑む


「じゃぁの」
「うん、バイバイ」

あなたは私の別れの言葉を聞くと、私の横をすり抜けて家へと帰って行く

私はあなたの後ろ姿を見つめながら、あなたに泣き声が聞こえないように口元を両手で押さえて泣いた



ねぇ…雅治。

最後、私ちゃんと笑えてたかな?

雅治が傷つくような顔してなかったかな?


私の傍に居てくれてありがとう。


大好きだよ、雅治。








END.
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