仁王短編

□ひきわけ
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放課後..

ある人に呼ばれた俺は、丸井に「部活に遅れる」とだけ伝えて屋上に向かった

屋上へ着いた俺は、先に待っていた相手に他の奴には普段見せない微笑みを浮かべて歩み寄る


「名前、どうしたんじゃ?」
「うん、少し話たい事があって…」

名前は、困ったように苦笑いする


あぁ…そうか、今日なのか

やっと解放してやれるんじゃな


名前の表情で、今から告げられる言葉の予想がついた


「もう…終わりにしよう?」

「疲れちゃった」

悲しそうな顔をする名前を、無表情で見返す


「好きな奴でもできたんか?」
「…うん」
「そうか」

俺は屋上の扉の方へ行き、入口からは死角となる場所へ壁に背を預けて座る


「ゲームは終わりじゃ。お前さんの好きにするとよか」

俺はそう言うと目を瞑る


「そうじゃなくて…」

名前が近付いて来る足音が聞こえてきた


「雅治?寝ちゃった?」

俺の隣に来た名前は、俺の様子を窺っているのか声がすぐ近くに聞こえた


「寝てないよね。ちゃんと聞いてるでしょ?」

笑っているのか、名前の声は穏やかな声音だ





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