仁王短編

□時を越える翼があれば
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キィィ――…


屋上へと続く扉を開ける

校内よりも明るい外の光に思わず目を細める




時を越える
   翼があれば





「やっぱりここにいた…」

銀色に輝く髪
気だるそうに足を放り出して、屋上の入口から死角になっている壁にもたれて空をぼんやりと眺めている私の探し人

仁王雅治

私は彼に歩み寄り、少し距離をおいて彼の横に座った


「何か用かの?」

彼は私の方を振り向かず、空を見上げたまま言った


「私はないけど…」
「お前さんじゃないなら誰なんじゃ?」

彼に聞かれて、私は言うのを躊躇った

彼の傍に少しでも居たくて、この空間は私と彼だけのモノだから


けど、私の想いは叶わない


「んー…、彼女さん?」
「なんで疑問系なんじゃ…」

「なんとなく…」


この想いに気付いてほしくて、でも気付かれたくなくて…

矛盾してる

彼との仲が気まずくなるのは嫌だ

この想いを彼に伝えたら、彼の傍に居られなくなる
たった一時の間でも、私にとっては凄く大事な時間だから





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