hope to leads a person.

□風族の次期長
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「うあぁあぁぁ!!」


翔也と册妃の死が全ての者に知れ渡った頃、本殿の庭で辰が泣き叫んでいた

辰の周りには、風の刃がドーム状に辰を囲んでいて誰も近付けない状態だ








「辰っ…」
「母さんっ!」


凌が駆けつける前、册妃はまだ僅かに息をしていた

自分の名を呼ぶ册妃の下へ辰は駆け寄った


「きっと…、貴方と砂夜もっ…同じ目にあうわ」

「助けるからっ!父さんも母さんも死なせないっ!」
「…私は、もう無理よ」
「どうしてっ!」
「もう…ほとんど生命力が残ってないっ。それより、辰…。母さんの話を…よく聞いて」
「…何?」


「サラ達を…守ってあげて」
「守るよ」
「まだ小さいのにっ、哀しい…思いさせてっ…ごめんね」

册妃は、愛おしそうに辰の頬を撫でた


「オレは、大丈夫だよ!」
「辰は、…強い子ね」

册妃は、そう言って微笑みながら辰を見るとクロを見た


「クロ…。辰達を…お願いっ」
「にゃー」

クロは、册妃の言葉に応えるかのように鳴きながら册妃に歩み寄った


「辰っ…、クロに…手をっ貸してあげて」
「何すればいいの?」
「私の心臓をっ…クロに食べさせてあげて」
「っ…、どうして?!」
「そしたら…、クロは不死になるっ。クロは…貴方達を助けてくれるわ」
「無理だよ!そんなのできないっ!」
「辰ならっ…できる」

「にゃー」

クロは、鳴いて躊躇っている辰に何かを訴えた


「…わかった」
「ありがとう…」

辰は、册妃の胸に両手を翳した



「辰。ずっと、貴方達をっ…愛してる」


最後に册妃は、愛おしそうに微笑んで辰にそう告げた






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