hope to leads a person.
□過去の真実
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「うっ…」
「どう?」
十年前の事、原因不明の病に倒れてしまった辰達の父親である翔也は、妻の册妃との部屋のベッドで病にうなされていた
「どんどん酷くなっとる。回復の見込みはないかも知れへん」
「そんな…」
王である翔也の護衛でもあり医者でもある凌は、翔也の容態を診て険しい顔をして册妃に告げた
「それなら、私の血を
「いいっ!」
苦しそうに顔を歪めながら、翔也が册妃の言葉を割って入ってきた
「翔也…」
「册妃の血は、…呑まないっ」
「でも…!」
「ダメだっ!歯止めが効かなくなる…」
「私は、大丈夫だから」
「俺が嫌なんだっ!」
「……」
病の苦痛と册妃への想いとで、翔也は眉を寄せて上半身を無理にでも起こそうとする
「翔也!寝ていないと」
「っ…、册妃…」
翔也は、自分の体を支える册妃を見た
「俺は、…お前を失いたくないっ」
そう言って、翔也は册妃の手を今あるだけの力でぎゅっと握り締めた
「だから、お前の血はっ…呑みたくないんだ」
「翔也っ」
自分を失いたくないと弱々しく言った翔也を、册妃は包み込むように抱き締めた
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