++文章修行家さんに40の短文描写お題++

080405-080410

+目次+00〜20

00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

01. 告白  02. 

03. 卒業  04. 

05. 学ぶ  06. 電車

07. ペット 08. 

09. おとな 10. 食事

11.    12. 

13. 女と女 14. 手紙

15. 信仰  16. 遊び

17. 初体験 18. 仕事

19. 化粧  20. 怒り

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文章修行家さんに40の短文描写お題


00.お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

シリュウです。
65文字という制約良いですね。
浅さがバレますが。
短文修業楽しみます。


01.告白  【65文字】

木造の廊下が二人分の足音で軋む。
ふと、その一つが消えた。
硝子窓に唇を噛み締める姿。
その言葉を待ち望んでいたとも知らずに。
言を紡ぐ。


02.  【63文字】

銜えた煙草が灰に形を変えてゆく。
まだ落ちない。
言葉の代わりに吐き出された煙が痛い。
閾値に達したそれは、灰皿の中で揉み消された。


03.卒業  【65文字】

校舎に切り取られた空を見上げる。
青い。
まだ硬い蕾が微かに揺れていた。
乾いた少し冷たい春風が擦り抜ける。
名を呼ぶ声の方へ駆け出した。


04.  【64文字】

また、置いていかれた。
小さく溜息。
湿り気を帯びた潮風が纏わり付く。
風の先に陸が霞んでいた。
此処にはいない相手を静かに睨み付ける。


05.学ぶ  【64文字】

いい加減、理解しろ。
不遜な態度は相変わらず、それは理解済み。
椅子の上で腕組みしながら首を傾げる。
学習能力がない、と鼻で笑われた。


06.電車  【65文字】

黒煙を靡かせて鉄の箱は前進する。
陸蒸気の車窓から眺める景色は意識とは関係なく流れゆく。
欠伸が出た。
迷惑そうな表情に気付かないふり。


07.ペット  【65文字】

どちらがどちらの愛玩か。
餌付けたのは双方向。
常々変わらない笑顔で、差し出す京土産。
一つ手に取る。
肉桂の香は少し辛い。
嫌いじゃない。


08.  【65文字】

下戸ではない、それより質の悪い癖。
行灯の蝋燭がちろちろと揺れる。
貴方の笑顔も揺れる。
斬り捨てるなら灯は消して。
襖の閉まる音がした。


09.おとな  【64文字】

泣くなんて子供っぽい。
面倒がられる。
震える鼓動を抑え込んで、息をついた。
意地悪な貴方が私に触れる。
まだまだ大人しくはなれません。


10.食事  【65文字】

よく飽きないね。
ぱきり、綺麗に箸は割れた。
湯気が丼から上る。
好物は何度口にしても飽きない。
動揺を誘った一寸後。
お前は舌を火傷した。


11.  【65文字】

毒された。
縦列羅列をなぞる思考は断絶気味。
五月蝿い声の独唱が体感温度を上げた。
畳の上に身体を転げる。
ひんやり。
積まれた書が崩れる。


12.  【65文字】

浅い水面を泳ぐ意識を自己制御。
白い螺旋階段を下る靴音を赤い毛氈が飲み込んだ。
見上げる先で目が合う。
薄く溶けるように現実に浮上した。


13.女と女  【65文字】

消毒薬の匂い。
まどろみを誘う怠惰な午後のひと時。
寝台の上に腰掛けて足をゆらゆらぶらつかせる。
紅をさした唇に叱咤されるのを望んでるのかも。


14.手紙  【65文字】

文末の署名。
どうして、下の名前だけなのだろう。
彼が筆を手にするのを想像してみた。
刀を筆に持ち替えたらきっと戦えない。
返答を考えた。


15.信仰  【65文字】

明けない昏い空。
襟巻きを引き寄せて寒夜を恨めしく思う。
鼻先に白が散らつく。
神でも仏でもなく生身の人間に願掛け。
都合よくは祈らない。


16.遊び  【65文字】

丁半、賽子が示すのは偶数か奇数か。
小気味よく振るわれ畳の上にトンと着地。
・・で、お前は何を賭けたんだ?
命懸けの勝負になりそうです。


17.初体験  【65文字】

ごとり。
酒壷が転がる。
空にしやがった…。
瞼を朱に染めたまま天井に喉を向ける。
すきっ腹に注ぎ込むからだ。
せめてもと酒の味を確かめた。


18.仕事  【64文字】

お前の選んだ道だろう。
前髪が靡いて、書類が机上から舞い上がる。
やっぱり、諦めたくはない。
足元に落ちた数枚を拾い上げて元に戻した。


19.化粧  【64文字】

鏡の中で目を細める。
あどけなさを白粉で隠した彼女は紅唇を軽く舐めた。
丁寧に締めた帯も解くのは容易い。
釦に伸びた手を掴み絡ませた。


20.怒り  【65文字】

口寂しい。
じっと見詰める黒い瞳が責めるように動かない。
真っ黒なのは肺の方か。
自嘲気味に笑う。
燻る紫煙が恋しい癖に。
燐寸を放った。




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