スマブラ小説

□王子様
1ページ/2ページ


僕は一応、王子様。

自覚はちゃんと持っているし、品格も失わぬように日々気をつけている。

それを気にしてか、ゼルダ姫とピーチ姫がいつもお茶に誘ってくれる。

彼女たちは僕からみても美しい姫たち。

とても光栄すべきお誘い…のはずだった…


「このアールグレイ、よく効いてますね。美味しいです。」

「本当?お口に合うもので良かったわ」

姫たちが顔を合わせ、お互いに微笑んだ。

「あら。リンクたち…お稽古かしら?」

「本当だ…」

テラスから見える庭では先輩とロイ、アイクが剣術の稽古(乱闘?)をしていた。

先輩が斬りかかればロイがカウンターで返し、アイクが走り抜ける。

みんなの剣術を見ているとピーチ姫がとんでもない質問をしてきた。

「…マルスは、あの中で誰が好きなの?」

「へ?」

「だって毎日のように求愛されてるじゃない?」

「ぇ!?ぃや、あの…それはー」

見られていたことと、それを直球に聞かれたことに動揺し言葉がなかなか紡げない。

「…で?」

「でって言われても…」

二人の姫に言い寄られ、どうすることも出来なくなってしまったときに聞こえた声…。

『あーっ!!マルスだ!!』

さっきまで稽古をしていたロイが声を発しながら走ってくる。

ひとまず、助かったかも…。

『姫3人で何してんのー?』

「はぁっ!?」

「ふふ…姫ですってよ?」

テーブルに手をつき思わず立ち上がってしまう。

テラスから近い庭には剣士3人…。

「さぁ?マルス姫の王子様はどなたかしら?」

「選んで差し上げたら?」

姫たちは優雅な笑みを浮かべ紅茶に口付ける。

剣士3人は訳がわからず首を傾げている。

僕は立ち上がり顔を紅くして呆気にとられている。


僕は一応、王子様…。


それは過去の栄光に消えつつあるのかもしれない…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ