「雨、止まないねぇ…」
名無しは溜め息混じりに呟いた。
私たちは突然降り出した雨に、ボロボロの掘立て小屋に飛び込んで二人並んで地べたに体育座りをした。
名無しの手の甲に玉のような水滴が乗る。その美しさも重力には敵わず、形状を崩して零れて落ちていった。
「…名無し、寒くない?」
「平気よ、雷蔵は?」
「わたしも。名無しがいるから」
名無しははにかむとピンク色の頬にえくぼが出来て、羨ましいくらい可愛い。
濡れた身体をうんと寄り添い合って、雨脚が弱まるのを待っていた。
「はやく止まないかな」
名無しはそう言ってから あっ、と言って私の顔をみた。それから少し視線を落として微笑むと、
「……やっぱり、まだいいや」
思わず、まぁ、と言葉が漏れた。
羨ましい、を通り越して憎たらしいほどに可愛らしくて愛しくて、私まで口元が緩むのをありありと感じた。
「そうね、もう少しだけ、」
雨宿り
( 一緒に居れるから良いわ )
( 雷蔵の腕の中、あったかい )
・・・・・・・・・・
いつの間にか雷蔵ちゃんに
ぎゅっとされてるヒロイン20091029