B O O K

□きみがすきです
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僕の大好きなあの子は、みんなも大好きなあの子だ。


「名無しちゃんちょっと良いかい?」
「新しい本貸してあげる」
「おい、手伝ってくれ」
「ねぇーえ名無し、このマニキュア綺麗でしょ〜?付けたげるっ」
「ボタン付けてくれよ」
「面白い話してやろーか!」
「きゃは、しょーがないから構ってあげる」


いつも名無しちゃんは忙しそうだ。みんなは彼女の気を引きたくて、無理に話題作りを頑張っている。…もちろんそれは僕もだけど。


「…ところで今日は誰が名無しを家まで送ってく?」
「やだ、重大な事忘れてたわ!」
「いつもの事だけど、私の家近くだし、一人で帰れるわよ」
「名無しは一人で歩いちゃ危ないよ」
「本当に平気なんだけど…」


名無しちゃんは困った顔をした。それでもみんなはお構いなし、と言う風に誰が“名無しちゃん送り係り”になるかと話ている。


ジャンケンをしても負けたタミヤが文句を言って、即興の腕相撲大会ではゼラが惨敗し激怒因みに優勝は雷蔵、チェスや腕立て伏せ、それと100m走。
あーだこーだ言い合った結果、結局は名無しちゃんに決めて貰う事になった。最初からそうやればよかったのに、と思ったのはどうやら僕だけだったらしい。


「で、誰が良いの名無し」
「うん…と」


名無しちゃんはみんなの顔を一通り見渡して、腕を組んだ。ボルテージ、最高潮。


「ダフ、ダフと帰る」


一瞬時が止まった。僕の中の、と言うより秘密基地中の時が止まった。


「良いでしょ?ダフ」
「あ、うん…勿論!」








「…じゃあ、私の家ここだから!」


一瞬だった。何を話したかなんて、まったく思い出せない。舞い上がってしまって、それどころじゃなかった。
そこで僕は何を血迷ったのか、今日しかない、と思った。普段はみんなに圧倒されて、それどころじゃない。


「名無しちゃん、あの…っ」



きみがすきです




― 結局、さようなら、としか言えず終いだった。自分の甲斐性なし。





(また明日ね、)
(うん、また明日…)







・・・・・・・・・・

初ダフgdgd/(^O^)\
なんかすいません

20080424



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