B O O K

□自殺願望
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恋とは、突然訪れる。





今日は帽子を取り上げられたり、鞄の中の物を散らかされた。
今日の出来事を思いおこすだけで、気持ちが悪くなる。

(死のう)

橋の上から川を覗き込むと、最近よく降る雨の所為で水が増している。
流れはあまり早くないが、ちょうど良いかもしれないと思った。
鞄を道路に放って、片足を欄干にかけるとすぐそこに川が迫ったようだった。


あと少し、体重を前にかけるだけだと思った時、

「危なぁーい!!!」

強く袖を引かれ、そして尻餅をついた。


少しの間、尻餅をついた状態のまま放心していると、

「君、大丈夫だった?」

視界に現われたのは、大きく目を見開いて頬に汗の粒をくっつけた女の子だった。

「う、うん……」
「良かったぁ…」

彼女は僕の横に座り込むと、大きな溜息をついてうなだれた。
僕はいまいち状況が理解出来ずに、そんな彼女の事を見詰めた。

「なんであんな危ない事したの?」
「え、あの、川に…興味が……」
「そうだったの?ごめんね、観察の邪魔しちゃって」

彼女は立ち上がって、僕に手を差し延べた。少し戸惑ったが、手をとって立った。

「今度は欄干に乗っての観察は駄目!禁止!!分かった?」
「は、はい…」

彼女は道路に無造作に置かれた(投げたのだけれど)僕の鞄を拾い上げ、手渡してくれた。
そしてじゃあね、と微笑み立ち去った。

(…自殺、しそこねた)

彼女の笑顔を見て、僕は恥ずかしくなった。

自殺願望消滅


(あ、名前聞けば良かった…かも)





・・・・・・・・・・


カネダ君第二弾。
名前変換なし…○rz

20080420



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