名無しちゃんが眠っている。
僕の肩に頭を乗せ、小さく寝息をたてていた。心音が微かに聞こえる距離だ。
下手に動いて起こせないと、気を付けながらチラリと顔を見てみる。
長い睫毛が、光を反射して輝く。
「名無し、ちゃん」
「んん、」
起きる気配はまったくなく、僕の頭の中でいけない思想が巡った。
「キスしちゃうよ…?」
顔をそっと近付ける。
知られたら軽蔑されるだろうか。
頬をぶたれるだろうか。
それとも泣いてしまうだろうか。
そう思いながらも、顔はどんどんと近付いていって、鼻先がくっつく。
ちゅ、
「―ッ」
慌てて顔を離す。
名無しちゃんは起きない。
自分の唇に指を当てた。柔らかかったな、と口付けの余韻に浸る。
「…名無しちゃん」
罪悪感と、幸福感に僕はそっと目を閉じた。
幸せな夢を見る
(…犯罪になるのかな)
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カネダ君です。
ヒロイン、本当は起きてた
とかね。どうでしょう20080328