03/10の日記

17:14
アプリコット(乙女のはにかみ)
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あの子が楽しそうに笑うのは…最早、僕の隣ではなくて。


「いいのかい?」
「八番隊隊長はん。何がですか?」
音もなく近づいた京楽が、市丸の隣に並びのほほんと話し掛ける。こういう男が一番、曲者だと理解している市丸は、唇に笑みを張り付けたままで答える。
「うかうかしていると、持って行かれるよ。冬獅郎君に」
「十番隊隊長はんに?」
「乱菊ちゃんを…だよ」
「十番隊副隊長はんを?」
「そう。乱菊ちゃん冬獅郎君の前だと可愛いいよね〜何と言うか………乙女のはにかみ?そんな感じの笑顔がさ」

瞬間。
市丸は笑い出した。
京楽は笑いのツボにはまった市丸が抜け出すのを待つ。

「…そんなにおかしかったかい?」
「乙女って柄ですか?松本副隊長はんが?」
「乙女だよ。彼の前では…ね」
「そないなもんですかね?僕には関係ない事やと思いますが?」
「そうなのかい?彼女は君の…良心だと僕は思うんだけどね」
歩き出す市丸の背中に投げ掛ける。
「副隊長はんは、僕の同郷。それだけですよ」
それだけ答えるとヒラリと手を振り歩き出した。隊羽織がなびく。
「そうかな?」

日番谷を見つめる視線が時々強い事を京楽は知っていた。おそらく日番谷も気が付いているハズだ。

それなのに。

彼女を諦めて、市丸はどこに行こうとしているのか?
時々、京楽は胸騒ぎを覚える事がある。

願わくば、今、暫しの平穏を…………





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