□曖昧に始まる月曜日
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ホームルームも終わり、帰る準備をしていた放課後、いつも通り、あとは帰るだけだった。告白とかされるのも面倒だし今日なんて朝からアホな告白されるしでさっさと帰ろう、と思ったその瞬間。





「なぁ、このクラスに名無しって女いるだろ?」



瞬間、ざわついついた教室が一瞬で静まり返り雰囲気が一気に重くなる。そして視線は名無しへと集中する。

開きっぱなしの扉にもたれるように立っていたのは、低く響く声の金髪をツンツン立てた切れ長いつり目、のその人、…………ボギーウッズだった。




「見ーつけた、あんたが名無しだろ?ちょっと顔貸してくんねーか」



ドアにもたれかかったまま私に向かって話かけてくるボギーウッズ。何で私!?私なにしたっけ!?




「どっ…どうしよう!私なんかした!?」

「さ、さあ?てかめっちゃ見てるし…素直に従ったほうがいいんじゃない?とりあえず行っておいでよ」

「ええっ!?ちょっと!」

「行った方が身のためだって」

「そんなこと言わないでよ!じゃあ一緒に行こうよ」

「あんたを指名してるんだから1人でいきなよ…大丈夫だって、いきなり取って食いやしないでしょ」

「いやいやいや!あの人の噂!ねえ!」




もたもたしていた私に痺れを切らしたのか教室にツカツカと入ってきたボギーウッズ。






「早く来いよ」

「ーっ!!」





グッと掴まれた腕。思っていた以上の力強さに私は思わずびくつく。そのまま腕を掴まれ連行される。抵抗して恐ろしい目に遭いたくないから素直についていくことにした。みんな心配そうな目でみてるけど、だったら止めてよ、誰か助けてよね!って無理か。ああ、私どうなるのかな、ボコられる?てゆうか犯されたりしたらどうしよう!それこそ笑えない!笑えないよ、どうしよう!そもそも何でいきなり呼び出し食らわなきゃならないの、まさか告白?それはないか…。


すたすたと自分のペースで歩くボギーウッズに私は半ば引きずられるように歩く。なんかだんだん人気のないとこに向かってるんだけど!ちょっとちょっとちょっと怖い!



…ん?ちょっと、待って。この方向、屋上に向かってない?今日は開いてたみたいだけど本来、屋上開かないはずだし…って、あれ、どんどん屋上に向かって階段上がっていくんだけど、


「ね、ねぇ、ちょっと待って!屋上は開かないはずじゃ…」

「あ?今日屋上に来てた奴がなに言ってんだよ。ここの鍵なんてとっくにぶっ壊してるからいつでも入り放題なんだよ」



その瞬間、私はザアッと、全身の血の気が引くのがわかった。まさかまさかまささか!嫌な予感しかしない。逃がさないように掴まれた腕を引かれればオレンジ色の夕陽が照らす。





「昼休みはずいぶん面白い話、してたじゃねーか」

「…っ!」

「2年で可愛いとモテモテの名無しは実は男を馬鹿ばっかだと思ってて…それで、気持ち悪いんだってなァ?」




き、聞かれてたーーーーっ!!!よりによってこんな、私よりさらにヤバそうな奴に!や、ヤバイ。どうしよう!私、こいつにやられるんだろうか(いろんな意味で)。いや…負けない!こんなやつに負けてたまるもんかっ!






「な、何よ何が目的?私がほんとは腹の内は黒い女だって言いふらすって脅すわけ?別に勝手に言い触らせば!」



い、言ってやった!怖くて足と声震えちゃったしちょっと半泣きだけど。キッ!と睨み付けボギーウッズがどうでてくるのか伺う。すると、面白そうに笑いだす




「ぶっ、ははは!はぁ…別に目的も脅すつもりもねーよ。お前、オレと付き合え」



オレンジ色に染まる屋上と夕陽を背にしている金髪がオレンジがかってキラキラと光る。伸びた影が私に架かる。



「……は?」

「だからオレと付き合えって言ってんだよ」

「い…や、ごめんなさい…だって私、好きじゃないから付き合えない」

「んなこと気にすんな、試しにオレと付き合ってみろ、すぐにオレしかみえなくしてやるから」




じゃあ、そういうことで決まりだからな。ほぼ強制的に言ってぐしゃぐしゃと頭を人撫でしたボギーウッズは挑戦的に笑って屋上からでていった。

嘘、私どうなっちゃうの?絶対、ボギーウッズのことなんて、信用しない。何考えてるかわかんないし、もしかしたら何か企んでるかも。後から陥れられるなんてことは、まっぴらごめんだし。






曖昧に始まる
月曜日



とんだ週始めがスタートしてしまった







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