お前の青春、俺がもらった

□平穏主義なあのこはまだ夢見心地
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入学式なんて怠くて面倒くせーもん絶対出てられねぇ。だから今日の入学式はさぼった。委員長のユーと入学式早々に部活勧誘に張り切っていたバリーとジェリーは律儀に参加してたみたいだが。つってもバリーとジェリーは真面目に式に参加してたわけじゃねーか。もちろんオレとセドルは最初から参加する気皆無。まあセドルが式に参加してたらぐっちゃぐちゃにされたこと間違いねぇだろうけど。だからむしろ学校側からしたらありがたいって話だ





「で、新入生でいいのいたのかよ」

「派手な子とかもいけど、わりと安定してたんじゃない」

「安定ってどーゆーことだよ、ユー」

「そんなに酷い子はいなかったってこと…それよりもセドル、その服の柄なに」

「これ可愛いだろー!目玉のおじさんだ!」

「どこがだ、趣味わりーんだよ。オレん家にそんな服着てくんな、気持ち悪りぃ」

「あー!?なんだと、ボギーてめー!」




入学式が終わったあとユーやバリーたちがオレん家に来た。セドルはついさっきキモい柄の服を着てオレの家に勝手に入ってきた。ユーたちに新入生がどんなもんだったのか聞くとまあまあらしい。品定めは明日だな。





「そういえばジェリーは?」

「あいつなら部活だよ。自主トレするんだとよ」



ボギー宅のキッチンで料理をしているバリーがキッチンから叫ぶ。



「へぇー暇人〜」

「そりゃお前だろ、セドル」

「オイラは暇人じゃねーし!」

「暇人じゃねーなら携帯の電源切れよ。お前の着信音ばかでかくてうるっせーから」

「なんだと、ボギー!すげぇよくね、この曲!オイラにピッタリ。つーかメールうぜーな」

「ウザイってどうせまた新しく出来た彼女でしょ」

「んーなんかこいつ重いからめんどくせ。もう切るわ」

「そんなすぐ別れるなら付き合わなきゃいいのに」

「いいじゃん、すぐ別れたって」

「お前オレより質悪いよな、ほんと」

「ボギーと一緒にすんなよ。オイラは彼女のサイクル早くてもちゃーんと1人と付き合ってるもんね。二股三股があたり前のボギーより全然質悪くねぇだろー」

「あ?オレはかけてるつもり全くねーよ」

「ボギーもセドルもどっちもどっちだろ!お前ら飯できたぞ!」



割って会話に入ってきたバリー。その手には出来たての炒飯が。ほらよ、と4人分テーブルの上に置く。




「おーっ、うまそ!バリーサンキューウ!」

「そういえばオレ新入生のちっこい女にぶつかられてよー」

「バリーにぶつかるとか、その子大丈夫だったの?」

「大丈夫なんじゃねーか。オレがミンチにすんぞ、って言ったらすんごい速さで逃げていってよー失礼だよな!」

「新入生なら誰だってお前とぶつかればビビんじゃねーの」

「その子って遅刻した子じゃない」

「入学式早々遅刻かよ」

「ごちそーさまっ!んで?その女、可愛かった?」

「小せぇ女だったからな…一瞬顔上げてすぐにダッシュしてったからよく見えなかった」

「なんだよ、役にたたねー」

「なんかすごく乱れてたけど、ブスじゃなかったよ」

「またえらく微妙な情報だな」

「ふーん、バリーにぶつかってダッシュする女かー、それでブスじゃないならちょっと見て見たいかも」

「ただのバカっぽそうな女にも聞こえるけどな」






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「はっくしょ!うーくしゃみさっきから連発」

「風邪ひいた?」

「っくしょん!…入学早々遅刻に風邪…?ついてない〜…」

「噂でもされてるんじゃないの〜?」

「噂?何で?リンなんか聞いた?」

「何も聞いてないし!聞いてたらうちがほっとかないしー!遅刻したから目立ってたじゃん」

「…目立ってた?」

「目立ってたってかういてたし?」

「うっそー!明日自己紹介なのにどうしよう…」

「別にそこを使っちゃえばいいじゃん!」

「そうだね!そうしよっ」



入学式の帰り、リンの家にそのまま遊びにきた。明日からの学校生活について話して盛り上がっていると、ガチャリと開いたドア。そこからサラリと流れる髪の毛。



「よお、前ら今日の入学式はどうだった?」

「お兄ちゃんノックしろし!」

「サニー君、久しぶりだね」

「そだな、名無し。おま、今日遅刻した?」

「う、うん。入学早々やっちゃった〜」

「悪目立ちしてたぞ」

「えーっ、嘘!」


「変にこそこそしてっから変に視線集めてたぜ」



がっくし肩を落とす。変に目立つとか…普通にその他大勢の1人として高校生活送りたかったのに…



「そういえばお兄ちゃん、すごい大きくてミンチにすんぞ、とか言う奴っているしー?」

「はあ?いきなり何だよ」
「今日ね、私がその先輩にぶつかっちゃったんだ。それでミンチするとか言われてダッシュで逃げたの」

「おま、ほんと鈍臭い。てゆーかそいつあれじゃねーの、バリーっつーつくしくねー奴」

「そいつってなんだし」

「つくしくねー問題児グループ」

「え!?あの人が問題児の一員だったの」

「目付けられないように気をつけろよ」

「サニー君同じ学年でしょ?」

「んな問題児とかゆーお下劣集団とは関わるわけねーだろ」

「ふぅん…そっか」




私だってもうきっと関わることはないと思う。私顔見られたのも一瞬だし、覚えられたわけないだろうし。





平穏主義なあのこはまだ夢見心地


(非平穏な日々をこの時はまだ知らない)






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