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□君だから、好きが臨海突破
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「あー…頭痛てぇ…………あ?」
朝、めちゃくちゃ怠い身体。頭は重い上にズキズキと痛む。あーちと、昨日飲み過ぎたか?額を片手で押さえながら起き上がる。つかさみーな、そりゃそうか、オレ何も着てねーし……………………………ん?待て待て待て。何で何も着てねぇ?そして今なんか隣に暖かいもんがあったか?ちらり、と視線を横に移す。
「ーあ?」
暖かさの原因はもぞもぞと動く部下、名無し。これ、まさかなー。ちら、とシーツを捲り確認。……………あー、こりゃやっちまったわ。お互いに素っ裸で同じベッドで寝てる→さらに周りをよくよく見ると、脱ぎ散らかった衣服に下着たち。どうやら、部下と酔った勢いに任せてヤっちまったらしい。こいつにこんな形で手を出すつもりはなかったんだが…。
覚醒してくると、おぼろげだった記憶が徐々に明確となってくる。あー確かにオレは昨日こいつに手をだしたな。しっかし…昨日のこいつと言ったら普段からは想像できないくらい、妖艶で従順。普段、やかましくてさばさばしているせいか酒を飲んで酔って無防備で。フラフラのしおらしくなった名無しにギャップをものすごく感じた。つい手を出しちまったのは酒だけのせいじゃねぇ。そのせいもあったからなのと、ただ単にオレはこいつが好きだから手を出しちまったっていうのが一番の理由だな。あーっ!こいつに手ぇだすの散々我慢してたくせに結果これかよ。頭をぐしゃぐしゃと掻きながら自分がしてしまったことを後悔する。
「…んー……」
もぞもぞと動き声をもらした名無しは眠そうに目をうっすらと開ける。何事もなかったかのように再び目を閉じて二度寝するのかと思ったら、「あっ!?」とくぐもった声が聞こえてくる。そして勢いよく飛び起きた名無しは絶叫。
「えぇえぇーっ!?」
「…あー、うっせえ」
「なっ!いやっ、これ…っ、ちょ…えぇぇぇぇ!?」
「わかったから落ち着け」
「だだだだだって、ももも、もしかして!?」
パニック状態な名無しは挙動不審な上に自分の頬をおもいきりぶん殴った。
「い、痛い…ゆ、夢じゃない………うわあああーっ、支部長………」
「…あー、お前の思ってる通りだよ」
「昨日のは…夢じゃないんですね、支部長はSだと知っていましたけど、こんなに肉食系だとは思ってもみなかったです、がっつきすぎです」
「……失礼なやつだな。つかお前記憶あんのかよ」
「薄らと、あります…」
「薄らかよ…それでよくんなこと言えたな」
「だって腰も、身体も全部痛いし、支部長…激しくて酔ってたけど薄らとなら記憶あります。それにこの無数の痕からそうなのかなって思って」
「…酔ってたとは上、悪かったな…なんつーか、ほんと悪りぃ」
言うと、急に曇りだす名無しの顔。
「……支部長は、誰でもいいんですもんね」
震える声で小さく低く呟いた名無しを見ると笑えてなかった。涙が今にも零れそうなくらいに瞳にためてシーツに深い皺が刻み込まれるくらい握り締めていた。
「は…お前なにいきなり泣いて…」
「べっ、別に私じゃなくて…も、しっ、しぶちょは相手…ぐすっ、いますもんね…っうう〜」
さっきまではやたらテンションが高かったくせに、オレが謝った途端に泣き出す名無し。誰でもいい?は?んなわけねーだろ!いくら好きな女だからとはいえ、酔ってた勢いでこんな形でヤっちまったから、本当に悪かったと思って謝ったんだろーが。そう言う前に身体は勝手に動いてて、シーツに顔を埋めて泣きじゃくる名無しをシーツから剥がしてそのまま唇を己のそれで深く塞ぎベッドへと倒れこむ。
「っんん!…はっ、やめ…っ、ん……」
ベッドに倒れこんだ瞬間に暴れて抵抗し出し、顔を背けようとする名無し。だが、両頬をがっちり押さえそれを許さなかったのはオレ。藻掻けばもがくほどより深く口付けてやる。涙を流しながら必死に呼吸をしようとして、キスの合間に漏れるこいつの吐息はやたら妖艶で、抑えが効かなくなりそうになったがなんとか堪えしばらくして唇を解放した。
「うっ…私は…支部長の一番じゃなきゃ嫌なんですっ…ぐすっ…だからもうこういうのはこれきりにして下さい」
「馬鹿か、テメーは」
「な、馬鹿って何ですか!私は本気ですから!本気で支部長が好きだから支部長にその気がないなら、こういうこと支部長とはしたくないんです」
「誰がその気ねぇっていった?」
「だって支部長、すっごくバツ悪そうに謝ったじゃないですか!」
「だからそれは、好きな女を、酔ってたとはいえ、お前も酔ってんのに、勢いで抱いて悪かったと思ったから謝ったんだろうが!」
「………え?……うそ!」
「嘘じゃねーよ、好きな女が目の前で無防備だったから抑えきれなかったんだよ。好きでもねぇ女にこんなにがっつくかよ、手ぇだすかよ。今まで我慢して必死に抑えてた分、理性ぶっ飛んだ」
「…支部長、ほんとに?」
「お前このオレに何回言わすつもりだ」
「…支部長、私も支部長が大好きです!」
また泣いてんのかよ、お前意外に泣き虫なのな、そう言うと、抱きついてきた名無しは、オレを見上げ上目遣いで、これは嬉し涙です、支部長が私のこと、好きって言ってもらえて私すっごく嬉しい…!なんて言うもんだから、沈静化していた理性がまた飛んだ。キョトンと惚ける名無しの上に乗る。赤くなり朝からちょっと!と、暴れる名無しを抱き寄せて口付けを1つ。幸せそうな顔したこいつにオレもつられて同じ顔になる。覚悟しとけ、今からたっぷり愛してやる。
君だから、好きが臨海突破
とっくに理性の壁を越えていたのに。今まで手を出せなかったのは、お前だから。大事すぎて、出せなかった、なんて死んでも言わねぇがな。
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表現やシチュエーションが微妙なので、微裏表記させて頂きました。期待されて読んで下った方、すいません(^^;