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□致死量以上の愛を
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ガシャーーーーーン!!!
「ーっ!?ぎっ、ぎぃやあああああああっ!!!」
「どっ、どうした!?」
美食會第6支部に耳をつんざくようなガラスの割れた音と、悲痛に満ちた叫び声が響いた。その声を聞いた同僚たちは何事か、とその部屋に集まる。
「あっ、あわわわわ!どっ、どうじようっ!?」
そこには悪趣味な支部長の部屋で真っ青になってガクガクと震え動揺する名無しと、その足元の床には豪快なまでに散らばる目玉。さらにそれを保管していたでかいガラスケースの割れた破片とその中に入っていたホルマリンが床をびっちゃびちゃに汚していた。
「ぎゃああああ!?おっ、おまっ…お前!何してんだ!」
「どどどどど、どうじよう!?ザイパー!どうじよう!?ギド!ベイ!!ねぇ!!!」
「どうしたもこうしたも何でこうなったんだよ!?」
「し、支部長が会議に行ってる間に部屋の掃除頼まれたの。そ、それで目玉コレクションの棚を拭こうとしたんだけど、その時に肘が、ね…ガラスケースにぶつかってまっ逆さまに落下、それで…救出間に合わず…こうなったわけだよ」
「お前、鈍くせーな。ほんとに美食會かよ」
「どうすんだよ、これ。支部長みたらキレんじゃねーの」
「ややや、やっぱり?どっ、どうしよう、私殺される!セドル支部長に殺されちゃうううううっ!!」
「支部長そろそろ帰ってくんじゃねーの、本部から」
壁に掛けられた時計をみると支部長が機嫌良く本部の会議に行ってからかなり時間が経っていた。ひいい、やばいもうだめ!殺られる!!その前になにか手を討たねば!
「ちょ、ちょ、ちょっと、ザイパーギドベイ!支部長が帰ってこないように時間稼ぎしてきてよ!」
「はあ!?そんなことできっかよ」
「頼む!この通り!!その間に私はこれを片付けて何か手を討つから!てゆうか、これをなかったことにする!」
「無理に決まってんだろ!馬鹿か、お前は」
「だってだってぇ!私の命の灯火が!だから早く行ってきて!支部長を止めに行ってきて!」
「ーオイラが何だって?」
ピシリ。固まる一同、固まる空気。約一名は真っ青で冷や汗だらだらで白目向いている。恐る恐る後ろを振り向くと、薄ら笑いを浮かべ腕を組み入り口にもたれかかるセドル支部長が。本部からご帰還されたようである。
「し、支部長…会議お疲れさまっす!」
「お、オレらは失礼します!」
「おしり虫食べる時間なんで!」
くっそ、あいつら裏切りやがったな!適当なこと言って逃げた!いや、私が悪いんだけどね。
「し、しし支部長…お疲れさまです…………あ、の…さっきの話…」
「名無しがオイラのお気に入りの目玉の入ったガラスケースを割ったって話?最初からぜーんぶ聞いてたぜ?」
ぜ、全然気が付かなかった!さ、さすが馬鹿でも支部長!実力はあるよね、そうだよね!わかってたけどね!!にこり、と笑った支部長は全く目が笑ってなくて全身の血の気がざーっ!と引き身の毛総立ち。ぎゃああ!!死亡フラグ立ったー!死亡フラグったよ!し、死ぬ、私死ぬ!さようなら私の短い人生。
「う、ぐ…あ、」
「何か言うことは?」
「す、すんませんっしたああああっ!」
とりあえず全身全霊全力で謝る。もう土下座だよ、土下座。謝ったって許してもらえるわけないけど、出来る限りのことはやる。
「謝まられてもなー、もうオイラの大事な目玉コレクションはダメになったことに変わりねーし」
「………っ、」
土下座している私の頭元にしゃがみこみ見下ろす支部長。髪の毛を掴まれ強制的に上を向かされ支部長と視線が交じる。これは…目玉抉られフラグ!?相変わらず目が笑ってない支部長。言うまでなく恐い。
「…支部長、覚悟は出来てます」
「んあ?なんの」
「死ぬまたは目玉抉られるまたはお仕置きされる覚悟です」
「そっかー、さすが名無し潔いじゃん」
髪の毛を掴んでいた手がするりと首に移動する。ぎゅ、と瞑る目。瞼の裏が何も見えなくなるのはいつだろう、そう思っていたのに、いつまで経っても瞼の裏に映る色が消えない変わりに息ができないのと、口内に広がった鉄の味で再び目を見開く。
「ーっ、んん!?」
しばらくして解放された唇から酸素を吸い込む。唇が切れて口の中が血だらけ。あれ?てゆうか何でキス?
「何でって顔してるなー」
「…あの、支部長?」
「そりゃーオイラの大事なコレクションがダメになったのはムカつくけどー、」
「…………」
「オイラ、お前のことすっげぇ好きだから殺したくねーし、目玉抉るとかも無理」
「…え?支部長が…え?」
「だから、名無し、お前に拒否権なしのお仕置きな」
「え、支部長、私のこと…むぐっ!?」
「…お前、まだ一度もシたことないだろ?」
「ーっ!!?」
支部長に手で口を塞がれ引き続き言われたことに一気に真っ赤になり焦りだす私。まさか、支部長のお仕置きって……
「名無しの初めて、オイラがもらうわ。お前ぶっ壊れちゃうかも〜」
「ーっ!!!」
瞬間その場に押し倒され、真っ赤になりながらも抵抗。支部長に力で適うはずもないし、抵抗した瞬間、支部長が殺気全開で「拒否権ないっつったろ」と力で私を虚勢。おとなしくするしかない私は勿論、想像通りのされるがままにお仕置きを受けることになる。
致死量以上の愛を
代償として、お仕置き
代償として、お前をもらう
(名無し今日仕事出来ねーからあいつの分も仕事増えんねー)
えらく機嫌が良くてつやっつやしたセドル支部長をみて何が合ったか同僚たちは察したことは言うまでもない。
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これは微裏になるんですかねー?微裏の境界線がいまいちわからない…←ので、一応微裏表記させて頂きました!期待していた方はきっとがっくりですよね、すいません(^^;
>>>TITLE:意味/キスで窒息死