お前の青春、俺がもらった

□奇しくも彼女は純情ガール
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―ピピピピピッ!ばしん!

「…うー、眠い」



入学して2日目、さすがに寝坊するわけにいかない!そう決めて昨日は目覚まし時計を3つかけた。3つ目の目覚まし時計が鳴り響いた頃ようやく起床。時刻は7時。うん、いい時間じゃないの、起きなきゃ…。ベッドから出ようとした瞬間、携帯が鳴る。




「ふぁい、もしもし…」

「名無しーっ、おはようだしーっ!起きてる?」

「…あー、リンおふぁよー起きてるよ、ふあー…」

「ちょっとー、二度寝しないでよー!」

「…うん、大丈夫大丈夫、今布団からでたから」




後でね、と電話を切り朝ごはんを食べる。昨日は慌ててたから身だしなみを整えられなかったけど、今日はちゃんとしていこう。時間も余裕あるし、歩いていこうかな!まだ真新しい制服に袖を通す。中学のとき履き潰したローファーじゃなく、まだ足にフィットしない新しいローファーを履き誰も返してくれる人はいないけど「いってきまーす」と言って家をでる。まだ8時。








「名無しー、おはようだしーっ!」

「リン、おはよ!今日は余裕でした!」

「よかったしー」



リンと玄関で鉢合わせし、2人で階段を登る。一人で教室に入るのは心細かったからホッとする。



「今日自己紹介だねー、緊張してもうお腹痛い…」

「早すぎだし!」



そんな会話をホームルーム前にしていたリンと私。ホームルームが始まり担任のマンサム先生は「名無し!今日は寝坊しなかったか!」なんて笑いながら私に言うものだから自己紹介前に注目の的。うう…穴があったら入りたい。校則や授業の単位のこととかある程度説明が終わったあとについに恐怖の自己紹介が始まる。うわわわ、やばいよ、やばいよ、心臓が爆発しそう!うっ…気持ち悪くなってきた!ぎゃあ!もう私の前の人じゃないの!




「次のやつー」



私だ!やばいもうだめ!緊張で頭真っ白。返事をして教壇の前にたってからの私の記憶はない。












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「…………うううっ、もうやだ」

「気にすんなし!自己紹介面白かったよ、名無し。盛大に転ぶっていうのがさすが」

「……リン、それ微妙にフォローなってない」

「まあいいじゃん!友達もすぐできたし」

「うん、そうだよね〜」

「それよりも明日から授業始まるのが超絶ダルいし」

「確かにダルいね」



玄関で靴を履き替え、校門をでてから携帯がないことに気付く。



「あれ、ねぇリン、私の携帯どこにいったか知らない?」

「えー知るわけないしー」

「なくした…わけないか。多分机の中に忘れてきた。面倒だけど取りに行ってくるね」

「じゃあ、うちも一緒に戻るし」

「いいよ、悪いし!すぐ取りに行ってくる。先帰ってて」

「そう?じゃあ先帰るよ」

「うん!」



せっかく校門まで来たというのに結局また走って教室に戻ることに。校門に向かって歩く生徒の波間を逆走する。ああもう厄日だ!昨日は遅刻、今日は恥ずかしい思いした上に携帯の存在忘れかけるし。1年の校舎まで階段を駆け上がる。誰もいない教室のドアを開け自分の席にまっしぐら。




「はあ…疲れた…」



机の中を覗くと案の定携帯があった。リンに携帯あったよ、とメールを打ってからブレザーのポケットの中へ入れる。よし、やっと帰れる!軽い足取りで玄関に向かう。




「あ、もしもし?リン?携帯あったから私このまま家帰るね…え?ご飯?食べに行っていいの?行く!行かせて頂きます!」


メールを打った後すぐにリンから電話がきて話ながら歩いていると、視界の端に映った影。校門をでて丁度私が歩いていく方向にあるバス停でイチャつくカップル。うわわ、同じ制服…私そこ通らなきゃいけないんですけどー!ちょっともうべたべたしすぎ!公共の場で昼間っから全くもう…通りにくいったらないんだから…。いいや、気にしない!電話に集中集中…



「え?あれ、サニー君?アイス買ってこい?えー、やだよ、サニー君好みうるさいもん…何でもいい?嘘ばっかり…わかった!わかりました!買っていきます」


電話口でうるさいくらいの口論が始まったかと思ったら、サニー君が喋りだす。後ろでリンが何か叫んでるから聞こえにくい。何の話かと思ったらアイス買ってこいだって。仕方ない、途中でコンビニ寄ろう。



「あ、リン?いいよいいよ、夕飯食べさせてもらう身だし、うん、気にしない…でっ!!!?」



思わず言葉がつまり息を思い切り呑む。電話口からリンがちょっとー?どうしたの?何かあったの?と問いかける声が聞こえる。何で私が声が詰まったかというと、バス停でイチャつくカップルがキスしていたからで。それもただのキスじゃないやつ。つまり…うん、そういうこと。なんか深いやつ。ああーもうやめてやめて!見てるこっちが恥ずかしい!



「ううん、な、なんでもない!すぐ行く、じゃあね」


足早にその場を逃れようとしたときに、キス真っ最中の男の人とパチリ、と目が合った。きっと先輩だろう、金髪をたてた切れ長めの恐い雰囲気の人。私は思わずビクッと飛び上がる。すぐ視線を反らしその場から離れた。






「…な、何であんな所で!?てゆうか顔見られちゃったかな?怒られたらどうしよう…」






奇しくも彼女は
純情ガール




(………はあ、やっぱり昨日から厄日続き…)








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展開遅くてすいません(T_T)
 

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