□好きと言えない彼の精一杯の下手くそな愛情表現
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「うわあああああっ!ひどいっ、ひどいよおおおおおっ!しっ、支部長のばーかっ!あほばかまぬけー!」

「あぁ!?何だとテメー!誰にんな口聞いてんだ」

「誰にってセドル支部長しかいないっすよーだ!」

「何でそんな怒ってんだよ、一方的にキレられると気分わりー!」

「何でじゃないっ!支部長あんたねえ!私の可愛いペット…ガウチのガウちゃんの目玉くり抜いた挙げ句、5支部に出荷するたあっ、どういうことっすか!!」


食材狩りに生身で仕事にでていた私が、一仕事終えて帰ってきたときに目にしたものは、がらんどうのペットの部屋。三日前に捕まえてきたガウチ。もふもふしたくて捕まえたガウチをいい感じに手なずけることができていたのに。あれ、逃走しちゃったかな、と6支部内を見て廻る。あまりに見つからないものだから、そこら辺でおしり虫を食べていたベイをとっ捕まえてガウちゃん知らない?と聞きだした。なんと、私のいぬ間に支部長が勝手に目玉くり抜いて5支部に出荷してたぞ、という情報が。
とりあえずベイだけじゃ信用ならんと思い、一番信用できるジョージョーに確認する。どうか間違いであれ!その思いも虚しくジョージョーの一言にがっくし肩を落とすのだった。



「名無し、私はセドル様を止めたんじゃが…ベイの話は本当じゃよ、セドル様を止められなくて悪いことをしたのう…」



しょんぼりするジョージョー。いや、あんたは悪くない!でももっと必死に止めてくれてもいいのでは!?何があったか理解した私はすぐに支部長の趣味の悪い部屋に走りだす。悲しいのと悔しいので途中から涙と嗚咽でぐちゃぐちゃになりながら。そして冒頭の第一声に戻る。








「あー?ガウチ?何だっけそれ」

「何だっけじゃないでしょおおおおお!あんた自分のしたことに責任もてえええ!」

「あー、思い出した。あれな、あの目付き悪いやつな」

「そう!そいつです!何で所有者の許可も貰わず勝手なことしちゃうんですか!」

「所有者ぁ〜?はっ、部下の分際で生意気言うなよ、オイラは支部長だぜ?支部長の判断で出荷したまでだ」

「とんでもない職権乱用じゃないすか!最悪だ、支部長のあんぽんたん!ちょっと今から5支部に行ってガウちゃんの最後を聞いてきますから!じゃっ」




一方的に支部長をまくし立て、部屋から飛び出そうとした瞬間、半開きだったドアが閉まる。え?そう思って後ろを振り向くと怖い顔した支部長が。



「何すんですか、ちょっと!危ないでしょ!」

「5支部に行くなんてオイラは許さねーからな!」

「はあ?何でですか!別に長居しませんよ、ただボギー支部長にガウちゃんをどうしたのか聞くだけっすよ。てゆうかこうなったのも誰の所為だと思ってるんだか…」



やれやれ、と肩をすくめ左右に首を振れば、ガッ!と掴まれた両肩。




「な、支部長なに…」

「名無し、」

「…何ですか?」

「オイラは、」

「オイラは?」

「ガウチにお前をとられるのが嫌だったんだよ」



その言葉にハテナマークが乱舞、私の口からは、言うまでもなく、はあ?、と洩れる声。ガウチにとられる?なに言ってんだこの人、と支部長を見上げる。




「ばか、今こっち見んなあっ!」




恥ずかしそうに赤くなった顔に私もボボンッと、つられて赤くなる。なにこれ、支部長がまともに見れない。私の頭からはすっかりガウチのことなんて飛んで、今はセドル支部長でいっぱいになる。え、嘘!やだこれ、なにこれ!!






好きと言えない彼の
精一杯の下手くそな
愛情表現







(せっ、セドル支部長、顔真っ赤ですけど!)


(うっせー、お前も真っ赤だろ!)






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ガウチに嫉妬したセドルだなんてなんとも可哀想な扱い←
 

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