お前の青春、俺がもらった

□私が夢みてた青春とは
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私が思い描いていた高校生活っていうのはね、桜が舞う4月、新しい制服に身を包んで、新しいクラスに友達にドキドキわくわくして。そして高校生活の行事を目一杯楽しんで、高校生活に慣れてきた頃に、初めて隣の席になった人か、クラスの男子または違うクラスの人と恋をして付き合って放課後デート。毎日じゃなくて週何回か一緒にチャリでニケツで登下校、なんてのも憧れる!てゆうか絶対実現するもん!

それが私が高校生になったらやりたい夢ってゆうか、理想だった。


入学式前日、わくわくどころか緊張しすぎてギンギンに目が冴えてしまった私は1時をすぎても2時をすぎても寝付くことが出来ず、さらに悲しいことに目覚ましにも気が付かず。目が覚めたら…





「わ〜〜〜〜〜っ!遅刻遅刻遅刻っ!やっ、どうしよう!てゆうか何で起こしてくれないの!って私今日から一人暮らしだったあ!」




親が仕事の都合で海外転勤が決まった。私は日本に残ることになったけど、初めての一人暮らしが楽しみで仕方ない。と、同時に不安を抱いたことも忘れない。てゆうかそれよりも、だよ!




「ひええっ!もう9時!大変!入学式は何時から!?ってええ、9時半!?」



大変どころじゃなかった。間に合わない、入学式に遅刻。遅刻確定。うああ…もうやらかしちゃった。焦って家を飛び出て自転車を全速力で漕ぐ。時間は9時10分。学校までは10分でつくはずもなく、着いた頃には入学式が始まっちゃっていた。駐輪場に自転車をおいて寝坊したせいで焦って準備したせいで髪の毛もくしゃくしゃだし、制服も乱れるし…、




「はあ、こんな入学式ってありなのかなー?」



一人ぽつり、と呟き玄関前に貼られている組み分け表をみる。



「私は…えっと、5組かあ…あ!リンと一緒!」



靴を履き替え、校内に入るとすぐに新入生の受付があった。なんだか私と変わらないんじゃないかっていうくらい小さい身長の先生が受付に座っていた。おそるおそる声をかける。




「あの…新入生の苗字名無しです…すいません、遅刻してしまいました」

「あっ、苗字さん!よかった、心配してたんだよ、事故にあったわけじゃないんだね!」

「すいません…ただの寝坊です」

「元気な姿を見れてよかった!もう入学式始まっちゃってるんだ。途中から参加することになるね」

「はい、ほんとすいませんでした」

「もう謝ることないよ、体育館はつき当たりの廊下を左に曲がって…って口で言うよりも見取り図をあげるね」

「あ、ありがとうございます!」





見取り図を見ながら歩いていたら曲がったところで誰かにおもいっきりぶつかった。



「っわ!!」

「あぁ!?いってーな、どこみて歩いてんだ!」

「すっ、すいませんすいませんすいません!」



顔をあげると、筋骨隆々のとんでもなく身体の大きい高校生には見えない人が。ああ、私はこんな人にぶつかったのか〜もう、今日謝ってばっかりだよ。しかも「ミンチにすんぞ、コラ!」って言われた。こ、怖い!そう思った私は瞬間的に足が動いてダッシュ。体育館へまっしぐら。




「ごっ、ごめんなさーいいいいっ!」







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体育館へ着いた頃には式の半分以上は終わってた。こそこそと隠れるようにして空白になっているパイプ椅子に座る。ああもう恥ずかしい!








「名無しーっ、どうしたの?遅かったじゃん」

「リン、おはよ〜それがね、入学初日に寝坊」

「あっ、そっか!一人暮らしになったんだっけ!うちが起こせばよかったし!ごめんだし名無し」

「いやいやリンが悪いわけじゃないじゃん?起きれなかった私が悪いんだもん」

「怒られなかった?」

「怒られはしなかったんだけど、さっき体育館に来る途中に、すっごい大きくて怖い先輩らしき人にぶつかっちゃってね?」

「えっ、大丈夫なの?」

「それでミンチにすんぞ的なこと言われてもー、怖いのとびっくりしたので謝ってダッシュで逃げてきちゃった。ついてないよね」

「なんだし、その先輩!…あ、そういえばお兄ちゃんが言ってたし」

「なにを?サニー君が?」

「2、3年につるんでる問題児グループがいるって!そのグループがすごく厄介らしくて、目つけられたらヤバいらしいし!」

「えー、そうなの?私絶対関わりたくないなあ…平和な高校ライフを送りたいもん」






なんて、そう思っていたのに。私のこの思いは儚く散る羽目になる。





私の夢みてた青春とは、



(普通にニケツで登下校)

(普通に恋愛して、平和で目立つことのない高校生活を送る予定だったのに)






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リンちゃんの話し方が絶賛迷走中w
 

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