Novel

□友達の唄
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あなたが悪かったわけでも誰かが悪かったわけではありません
なぜなら
彼らが望んだことだからです



そう言った後、彼女は僅かな寂しさの笑みを浮かばせて『あなたには 分からないかもしれませんね』と呟いた。



人にとって幸せの形は様々だという。
例えそれが他人から見て不幸なことだったとしても、
本人達にとってみれば、それ以外の幸せを知らない。

どんなことでも周りは口を出してはいけないのだ、と。



しかし、それは本当なのだろうか。
もしかしたら他の幸せを感じさせてやれたんじゃないだろうか。
今はそう思っている。



俺は知っている。
その望んだことを全力を持って回避させたかったと、あなたが密かに思っていることを。

誰よりも、あいつらの平穏な幸せを望んでいたのだから。



お前らは自分勝手だ。
自分達さえ幸せで良いなんて。
残された人間の気持ちを考えてみろ。
死ぬことが自由に繋がることなんて、…本当に馬鹿だ。

自分達にとってそれが幸せでも、
こうやって悲しんでやっている人間だって確実にいるんだ。
それで、人一人不幸にしているんだぞ。



「いいか、それを忘れるなよ」



足元にある墓石に今更そんなことを言っても、
俺の声は届いてないかもしれないけれど。


-fin-
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