散りゆく桜の美しきかな

□豊玉の句集
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その翌日、新選組は雀と山崎によって肥後浪士宮部鼎蔵(ていぞう)の下僕、忠蔵を捕縛することに成功した。
そして、尊攘派の宮部の潜伏場所を特定する事が出来たらしい。

─潜伏場所…四条小橋の近くの桝屋(ますや)喜右衛門の方かぁ。まったく噂も立たへんかった所やなぁ。

「それにしても…父上の拷問意外とキツいんやな。今日からちゃんとしよ。」

山崎の厳しい拷問を目の当たりにした雀はげっそりといた顔でシタシタと薄暗い廊下を歩きながら、軽く両頬をぱしぱしと叩いた。
向かっているのは近藤の部屋だった。
もちろん此度の情報を伝えるためである。

─それにしても長州の奴らはいったい何がしたいんやろーな。

雀なりに頭を働かせて考え込んでいるといつの間にか近藤の部屋、言うなれば局長室に到着した。
親しく話すとはいえ、近藤は局長だ。
一人でここにくるのは初めてなため、緊張気味な雀。
緊張をほぐすために深呼吸をして言った。

「近藤さん、雀です。報告しに来ました。」

しかし部屋から返事が返ってこない。
辺りはしーんとしていて雀以外に動くものの気配が感じられなかった。

─…近藤さんいないんだ。緊張して損しちゃったー。よし、探しに行こ!

両拳を体の前に持ってきて少しばかり気合いを入れたその時、歩いて此方に向かってくる音が聞こえてきた。

─誰っ!?

素早くクルッと音が聞こえてきた方に向くと、そのいきなりの動きにビックリしたのか

「っいきなり振り向くなよ!」

と。



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