散りゆく桜の美しきかな

□水無月の報告
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屯所に戻って自室に戻った各々。
沖田がそこで目にしたのは机に頬杖ついて反対の手の指をトントンと上下させている永倉だった。
沖田に気付くとバッと立ち上がり声高々に叫んだ。

「ぅおぉい!コラ沖田ー!!てめ、俺を部屋に呼んどきながらいつまで待たせてんだよ?」

「仕方ないじゃないですか〜。雀ちゃんが死ぬとこだったんですから。」

いつものようにケラケラ笑いながら応えると永倉はさらに頭にきたらしい。

「雀だぁ!?あんなの放っとけいいじゃねーか!」

─あはっ案の定怒り狂ってますねー。耳が痛くなるからやめてくれないかな〜。

時同じくして

雀は山崎の部屋で正座をさせられて軽い説教を受けている。
大事だからこその説教だ。

「雀〜危ない目に会いそうだったら逃げろって言ったでしょう。」

「ごーめーんー!でもソージ達が居てくれたからよかったって事で。…っくし。」

手を顔の前で合わせながら謝っている。

─父上、心配してくれてありがとう。

「風邪引いたんですか?」

「んー、誰か噂しとるだけやと思う。」

「そうですか。一応気をつけなさい。」

「わかったー!」

鼻をこしこし擦りながら満面の笑顔で雀は返事をしていた。
仲むつまじい親子の会話なのだつた。

暫くたった沖田の部屋では

「それよりですねー、俺の団子食べるのやめてくれませんか?せっかく姉上が買ってきてくれたんですけど…。」

そう、永倉は沖田が戸棚に隠しておいた団子食べている。
しかも机の上にはご丁寧にお茶まで置いてある。
見たところ本人はかなりくつろいでいる様子なので沖田は半分迷惑そうだ。

「ズズッ。まぁ気にすんなって。また買ってくりゃあいいんだろ?」

茶をすすりながらひらひらと手を上下させる永倉。
沖田はいいように言いくるめられた。

「…それならいいんです。」

─と言うか最終的に買うなら自分で買ってください…。

ドタドタ

スパーン

目を細めて永倉の様子を見ていると、廊下を走る音が聞こえたかと思えば凄い勢いで雀が部屋に入ってきた。
永倉の姿を目に入れた雀は彼を睨んでいるようだ。

「おっ、『くきわかめ』。お前今日大丈夫だったのか?」

「誰がくきわかめや!!心配してくれんのはいいけど…。とりあえずくきわかめって呼ぶんやめ!」
くきわかめと呼ぶと激怒する事を知っている永倉はいつもわざとそう呼ぶ。
そのおかげで二人はまさに犬猿の仲。

「いや、だってお前の髪くきわかめ色じゃねっ…。痛っ!」

これ以上状況を悪化させないため、沖田は永倉の後ろ髪を勢いよく引っ張った。
さっきの団子の仕返しだと言わんばかりに顔には黒い笑みが浮かんでいる。

「永倉…女の子いじめるの好きですか。」

─髪引っ張ってすいません。雀ちゃんの顔怖いんですよ。その顔でどうにかしてよみたいな視線送られたんじゃかないませんから。



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