背には誠一文字
□楽観的日録
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そこにはむくっと上半身を起き上がらせた土方の姿が。
─何だよ。この典型的なのは…。
「あ、ひ、ひ、土方さん。…おはようございます。」
永倉なりに沖田を最大限に再現したつもりの物真似。
「何をそんなに脅えてんだよ。」
「別にー。それより土方さん!何か入れ替わり…みたいな本ありますか?」
─沖田のマネしてて一番自分が悲しいぜ…。
土方は少しの間沈黙すると、吹き出した。
「総司ー、お前おかしくないか?いつからそんな異国でありそうな話に興味持ったんだ?」
─土方さん“鬼の副長”とか言われてっけど、意外と…。
「無いならいいです。」
「ん?おう。今日はお前と永倉君、非番にしといてやるわ。」
「土方さん!?」
襖に近づいていた時に聞こえた言葉に思わず振り返ると、土方はただひらひらと手を振っているだけだった。
それを見て永倉はふっと笑みをこぼす。
─試衛館の時の土方さんはまだ消えてねぇんだな。
改めて新選組にいてよかった。と思った永倉だった。
──────
「はーい、新人さん達よぉ。これ読んで新選組の良さ学べよー!」
「またご要望さえあったら読んであげるからねー。」
庭先で新人隊士に今の話を朗読して聞かせていたのは、原田と藤堂だった。
もちろん彼らの作った嘘が全てのでっち上げの話である。
しかし、永倉はこの話を聞いてしまったので、原田と藤堂は朝から昼間まで追いかけ回されることになった。
「冗談じゃんかー!」
「うっせー!俺を変な話の主人公にしてんじゃねぇ!!」
─まぁ、新選組にはいてよかったけどよ。
数日後...
「あの、永倉先生、結局沖田先生も元に戻ったんですか?」
「あ、あれ嘘だからな!」
─信じる奴いたんだなぁ…。
それからこの嘘話はみんなの記憶から消え去ったと言う…。
あとがき
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