背には誠一文字

□楽観的日録
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「永倉ー、何がどうなってんです?」

いつものような能天気…というか、ケラケラしながら普通に話す沖田にあきれながらも、頭の中では色々と思考を巡らす。

とりあえず、大変な事になっているという事だけは理解できている。

「沖田、戻りたいか…?」

「そりゃあ、当たり前ですよ。目の前に俺自身がいたら何だか変な感じで…。」

やっと困った顔で苦笑いをした沖田。
今の事態をしっかりと理解できているようだ。

「そんじゃ、戻る方法を探そうぜ!」

「そうですね。じゃあまず…土方さんのお部屋に。」

すくっと立ち上がるとさっそく土方の部屋へ向かおうとした沖田。
それを阻止すべく、永倉は沖田の腕をガシッと掴んだ。

「待て!誰かに気付かれたら危ない。」

「えー、じゃあどうしろってんです?土方さんなら色んな本持ってそうなんですけど。」

─い、言われてみれば…。

「じゃあ行ってみるか?」

「そうですね!」



と言うわけで土方の部屋に部屋に侵入する事になったこの二人。

と言っても沖田はよく土方の部屋に入り込んでいるので怪しまれる可能性は低いと思われた。

「よーし、俺が行ってくるから沖田は待っとけ。」

「はーい。…やっぱり俺が目の前に居るの変だぁ。」

「いいから待っとけ。誰にも見つかんねーようにな。」

そこで永倉は沖田を自分の部屋に居るように言ってから、土方の部屋に静かに入った。

─土方さんまだ寝てらぁ。

襖を音を立てないように閉め、ゆっくりと部屋を移動して、土方の机の方へ。
いつ読んでいるのか、そこには本が何冊か。

後ろを振り返って土方がまだ寝ていることを確認して、再び机に向かった。

─さぁてと…さっさと探して帰るか。

本を一冊手に取ると、それをパラパラとめくり始めた。
しかし、どこを見てもそれらしき内容はない。

そして次の一冊に手を伸ばす。
そしてまた…。

「おい…何やってんだ。」

─バレた!?

突然の土方の声に肩をあげてしまうほど驚いてしまった永倉。
即座に後ろを振り返ってみた。




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