rotating karma

□book 6
1ページ/3ページ


「アイーシャ」

カイリにおいで、と言うように手招きされてアイーシャは首を傾げてから立ち上がり、近づく。

「どうしたの?」
「ちょっと俺、出てくるから」

シーッと人差し指を立てたカイリに、アイーシャは反射的に頷き、声を落とす。

「出るって…どこへ?」
「廃寺。リンが呼んでるから」

苦笑ぎみにため息を吐く姿に、きょろりと周囲を見渡して、再び首を傾げた。

「貴方にべったりだったのに」
「何か、理由があるんだろ」

特に根拠も無い様子で答える姿に、深く聞くだけ無駄だと判断する。
その代わりに、別の疑問を口にした。

「でも、どうして居場所が分かるの?」
「あの子の首輪にGPS付けてるから」

言って、ポケットを探ったカイリが一昔前の携帯電話に近い機械を取り出す。

「ちょっとレトロね」
「見た目に反して高性能なんだよ、これ。ここじゃ、使えないと思ったけど、リンの居場所を示したんだ」

だから、行かなきゃいけない。そう断言するカイリに、アイーシャはため息を吐いた。

「アラガミに会ったらどうするの」
「上手くかわす。神機がないから、無茶はしない」

肩を竦めて言うが、その言葉には迷いが無くて、止めても無駄だと言うことを示している。

「じゃあ、だれか護衛を…」
「冗談、足手まといはいらない。出来れば、車とか貸してくれたら嬉しいなーと思って、声掛けただけだし」

無理なら、歩いて行くと言われて、放置出来るわけもなく、はぁ、とため息を吐いた。

「それで死なれたら、目覚めが悪いんだけど?」
「大丈夫。死なないから」
「アラガミを甘くみないで頂戴」

緊迫感の無いカイリに、思わずきつく言えば不思議そうな顔をされた後、微妙な表情で、あぁと言われる。

「それは、多分……あんたらより、良く分かってるよ」

腕輪の付いた右手をギュッと握りこむ姿に、アイーシャは唇を噛む。

「あの…ごめんなさい」

どうしてだか、酷く悪い事を言ったような気がして、恐る恐る謝れば、ぽんっと頭に手を乗せられた。

「うん、俺もごめん。アイーシャは心配してくれたのにな」

くしゃくしゃと髪を乱されて、思わずカイリを見上げれば、にこりと笑われる。

「……ぐっ」
「ん?」
「いいえ、何でもないわ。車じゃ時間掛かるわよ。ヘリを出すわ」

首を振って踵を返したアイーシャに、カイリがその腕を掴む。

「それ、無事に返せる保証ないけど、それでも好いなら俺、自分で操縦するから」
「は?」
「一応訓練受けてる。飛行するアラガミに操縦士が襲われた時に対応出来ないと、困るだろ?」

どうしても1人で行く気らしいカイリに、少し悩み顔を上げる。

「私だけでは、返答出来ないわ」
「……分かった。15分だけ待つ。時間が過ぎたら出るから」

制限時間を設けられて、アイーシャは慌てて走り出そうとするが、再び腕を掴まれた。

「待った。走らなくて良いから。あー30分待つから」

時間を伸ばしたカイリに、アイーシャは首を傾げたが、分かったと頷く。

「決まったら、知らせるから部屋にいて」
「了解」

確かな返事を聞いて、腕時計を確認したアイーシャは、身を翻した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ