書庫

□グランギニョル
1ページ/1ページ




宵闇に燻る黒き微笑み


唯前へ 伸ばされた指先すら塵と化し


主を失った靴だけが路地裏で踊り転げる


可憐な口唇は熱を失い


見開かれた瞳に光は射さず


踊る事すら叶わぬ足を只投げ出す


其れでも歌声は止まず


響く


幾ら大地が緋を吸えど


幾人 幾万の肉塊が塔を成せど


殺戮者の指揮は止まない


さぁ 一度指揮棒を振れば


忽ち あの娘は首無し人形


糸の切れた人形で さぁ 遊びましょう


楽しい楽しい人形劇の始まり始まり…。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ