短き世界
□最初の婚約者は!?
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「ねぇ、戒人」
うん?と短く答える俺は、中々動く気配が無い邪魔な車に苛立っていた。
「…怖くないの」
少し黙ったフェイトが急に恐怖について聞いてきた…何に対する恐怖かは、見当がつく。
怖くないか…か…。
そんなこと、最近までは考えてなかった。
さぁ…どうだろう。
「…私は怖いな…」
俺はまったく動かない車にあきれがきて、バックしてUターンする。
運転しながら、助手席に座っているフェイトの声を聞いていた。
「大切な家族を殺すなんて…」
フェイトはフェイトなりに俺のことを心配していてくれたのだろう。
下を向いたまま目を細め、涙を溜めていた。
膝の上で拳を作っていたが、その拳は弱々しく震えていた。
俺は適当なところで車を止めた。
ふぅ…と溜め息をだし、目を一回つぶり、フェイトの手を握り、覗き込み目を見る。
…それが俺の使命だから
「使命だからって、家族を殺すの!?」
フェイトは顔を上げて、涙を流しながら、俺を見た…
「そんなので殺しちゃうの!…おかしいよ…」
フェイト…
俺が殺したいんだ、アイツは俺息子だから、他の奴にまかせて殺されるより、俺がアイツを殺した方がマシだから。