小説

□それは、愛が故。
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「おはよう、宵風」


「………」




朝、いつものように宵風とすれ違う。


いつもなら挨拶を返してくれてたのに、今日は何もない。





…今日だけじゃない。



昨日も、一昨日も。






聞こえないから、が理由でないことだけは、明らかだった。




だって、俺と目を合わせないから。



俺の姿くらい、見えてるはずだ。








また、いつも通りのことをしてみる。



宵風はもう耳が聞こえずらいから、よく宵風の部屋に手紙を書いていれる。




いつもなら。












いつもなら、次の日には返事が返ってきてる。


















でも。















今日は、




なかった。











なんで?












俺のこと、もう嫌いになっちゃったの?













…確かに、俺は宵風に告白とかしてないけど。






でも、それくらい、俺の態度で分かるよね?!









宵風に気に入られようと必死だったの、分かるよね??!











そういえば。









最近、宵風、話す人増えた。







何だか、急に宵風の周りが増えた。











もしかしてあいつ?!





あいつの元に、貴方は行ってしまったの?!





ねぇ、宵風。





俺たちは?!



なんでもない、ただの「知り合い」だったの?!

















…こんなのが、数日続いて。











俺は、いつの間にか生きる価値を失って。









迷って。
















宵風に、今までだったら普通だったことをしていいのか、分からなくなった。


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