NOVEL-1-
□埋まらない幅と埋められる距離
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ふうとため息をひとつ。
子供達の成長はまばゆくて。
妙に察しのいい子たちになったもんだ。
あいつらが大きくなったイコール
俺もさらにおっさんになったって事で。
…おっさん?
あ、おっさんといえばさっきの小包!
思い出して、すぐさま小包の封を開ける。
中からは一通の手紙と、綺麗な黒色の手のひらサイズの箱。
「…どっかで見たことあるぞ」
そういえば、さっきの宛名『かわいいおっさん』と書かれた字も。
見覚えがある。
! そうか!
これは
2年前のプレゼント。
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2年前の5/5。
その日が土方の誕生日だとは俺は知らなくて。
家に突然押しかけてきた本人から告げられるまでは、知らなかった。
「で?わざわざ誕生日プレゼントを貪りに来たってか?」
「そーゆー意味じゃねーよ」
家に来てはいきなり自分が今日誕生日だ、と言って煙草に火を付けた土方。
たまたま子供達の居ない時に現れた、めずらしい来客。
「じゃ、何でウチに来たの?」
「…誕生日プレゼント」
「?やっぱし漁りに来たの?」
「いや、そーゆー事じゃない」
「だーかーら…」
「俺が俺へのプレゼント」
「???」
はい?
まったく土方の意図が読めない。
「俺が今まで止めてた事を、誕生日だから…言う。これが俺が俺へプレゼント」
「で、何でココでそれを言う?」
「ココじゃないと意味ない」
「???」
やっぱり話が掴めない。
「…好きだ」
「は?誰が誰を?」
「俺がお前を、だ」
正直驚いている。
最近出逢ったばかりのコイツが気になって仕方なかったから。
そんなヤツがいきなり家に現れたもんだから。
んでもって何か告白されてね?俺。
「…返事は?」
「……」
お返事、ね。
してやるよ。
ただ、言葉じゃ照れくさいから。
俺からのキスで許してな?