NOVEL-1-

□理由が欲しい
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●まえがき
ほぼ銀ちゃんの独白。珍しくシリアス気味?




















『理由が欲しい』





目を覚ますと、その暗さに夜だということに気づく。

静かな部屋には
外の賑やかな音が遠くに少し聞こえる程度で。



ゆっくりと隣に目をやると漆黒の髪が見えた。

規則正しく静かに寝息をたてて隣で眠る土方を
起こさないように体を起こした。


鈍痛が走る体を上半身だけおこして、そのまま座り込んだ。


思ってみれば、こいつとそんな関係になったのはつい最近の出来事。





2ヶ月程前、こいつからの
「好きだった」の告白に
「いいよ、付き合おう」
の2つ返事で答えた。
考える間も無く、即行返事。

土方はかなり驚いた顔をしていたのを今でも覚えている。










俺は卑怯だから。





昔は沢山の人を傷つけて、
傷つけられた。
裏切ったし、裏切られたりもした。

時代が悪かった、と言えば言訳にしか聞こえなくて。



俺は卑怯だから。


だから、裏切ったり傷つけるのはもうたくさんだから。

だから、裏切られて傷つけられることにした。

他人を傷つけるくらいなら、自分が傷つく。
他人を裏切るくらいなら、自分が信じて裏切られる方がマシ。



俺は卑怯だから。
そう思って『逃げ』を選んだ。








土方からの気持ちはとても嬉しかった。
自分も好きだったから。


でも、同時に
彼の俺に対する気持ちは
いつか俺から離れて行くのではないかと思ってしまって。



それならば、俺が信じて裏切られる方がいい。


そう思っていた方が
いざ土方が離れて行く時も
傷つく準備ができているようなもんだから。


永遠なんてないから。








今は沢山の好きをくれるお前も
いつかは俺から離れていくのだろう?









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