Blue×Bluff

□seven days and the white cat
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あり得ないものを見た。
それはもう俺の短い人生の中でも、一番センセーショナルな光景を。

それは俺が17年間築いてきた一般常識というものをことごとくぶち壊して、今俺の眼前につきつけられている。
いや、そもそも一般常識とかどうのこうので定義すること自体が間違っている。

そんなもんでガチガチに固められた頭では、この状況を理解することなんて永久に不可能だ。


まぁその頭の持ち主は
俺だった訳だけど。
だから、今のところ俺にはこの状況が理解出来ない。

何でだ?何でこんなことが起こり得る?


あの日、俺は屋上で本を読んでいた。


理由は単純明白に、その場所にはかなりの確率で人がいないからだ。
普段は立ち入り禁止になっているから。

学校というものは、大概どこにいても人目がある。
当たり前だけど。
図書室にしたって誰かはいるし、教室なんてもっての他。
階段だって油断できないし、人気の無い廊下すら絶対に人が通らない保証はない。
最終手段としてはトイレの個室などがあるが、出来ればそれは避けたいところだ。


そんな訳で昼休みには屋上で本を読むことが日課のようになっていた。

あの息の詰まりそうな40分をやり過ごす最適な手段だったから。

なに、見つかった所で大した問題はない。
俺はこれでも優等生だから、少しは融通がきく。
全く便利な身分だ。


それでもごく稀に、はた迷惑なカップルが出現する場合がある。
そんな時は潔く諦めるのだが…


その日屋上に居たのは、俺以外にもう一人。

いつも通り俺がフェンスによっかかって本をぱらぱら捲ってたら、知らない間にそいつはいた。
いつの間に来たんだろうと思いながら、俺はさして気にもせず視線を下に落とす。


ちょうど俺のいる位置とは反対側のフェンスに、俺に背を向けて立っているそいつ。
分かったのは制服から男子だってことくらい。


興味が無かったからその他の記憶は曖昧だけど。


昼休み終了まで後五分という頃合いに、俺は本を閉じて立ち上がる。
そろそろ教室いかねーと。
そしてなんとなく、視線を正面に向けたら…


げ。アイツまだ居る。
しかも、さっきから位置変わってないし。
ピクリとも動かないでフェンス越しに校庭を見つめるそいつは、何だか危ないやつに見えた。


違和感。


おいおい、まさか
飛び降り自殺とかする気じゃないだろーな?


そのまさかだった。
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