NL小説

□二度と言わない「また明日」
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桜の花が、ひらひらと舞い落ちる。
それを見ると、切なくなってくる。














「沖田くんボタンちょうだい!!!」

「ちょっと抜け駆け厳禁よ!!」


「土方先輩のボタンゲット!!!」

「はぁ?後輩のクセに生意気なんだよ」


「「第2ボタンじゃなくて良いから下さい!!!」」




「・・・・騒がしい奴らネ」





新八と一緒に銀ちゃんとお喋りしてたら、学校でも人気の高い沖田とマヨラーが、女子達に囲まれてボタン下さいだか何だか知らないけど言われていた。

新八と銀ちゃんが言うには、よくある光景だと言っていたけど、私にはやっぱり異様な光景にしか見えなかった。





「神楽ちゃんも、沖田さんにボタン貰いに行けば?」

「な、何でアイツに貰わなきゃいけないネッ!!!」

「そりゃ、お前が沖田とイチャイチャしてたからだろうが」

「別にイチャイチャなんてしてないアル!!!」




そう言った時、銀ちゃんはニヤって笑い新八が苦笑いしたかと思えば、

頭に叩かれたような痛みが走った。






「痛っ!!」

「酷ぇよなァ、俺はチャイナと結構イチャついてたと思ってたんだけど…」

「お前まで言うのカ・・・・」





銀ちゃんと良い、沖田と良い、なんで私の周りにはこういう奴がいるネ、

そう呟いてみても、二人は聞こえないふりして新八だけが反応していた。


いつもと変わらない事なのに、別れのせいなのか淋しくなってくる。






「それより、沖田さん良くあの女子の軍団から抜けれましたね」

「あぁ、適当にボタンあげて興奮してる内に、土方さんを生け贄にしながら逃げてきやした」

「生け贄って……相変わらず多串君も大変だねぇ」

「土方さんだから別に良いんでィ」




相変わらずなドSオーラを出しながら笑う沖田を見てみたら、学ランのボタンが全部ない。


適当にとか言っときながら、コイツ案外優しい所あるから、一人ずつにボタンやったんだろう…

そう思っていたら、沖田と目が合いムカつくくらいの優しい笑顔を向けてきやがった。

(その笑顔に、私は何回ときめいただろう。)





「ほら、やる。」

「…は?」




右手に、冷たい何かが渡された。
何かと思い、見てみると銀色に光る制服のボタンで。


私が、何がなんだか解らないと思っている内に沖田は、顔は嫌みっぽく笑っていたけど優しく頭を撫でた。





「お前、どうせボタン貰う奴居ないだろうと思ってねィ」

「え、あ、まぁ居ると言ったら嘘になるネ。けど、コレ……」

「喜べよ、第2ボタンでさァ」

「・・・・マジでカ!?貰って良いアルか?」

「見ず知らずの女にやるより、怪力チャイナにやる方が良いんでねィ。せっかくあげたんだから、幸せになれよィ」

「当たり前ヨ!!!ありがと、な」




まさかの、第2ボタン。

普通、いつも喧嘩ばかりだった私にくれるなんて、思っても居なくて。


素直に喜ぶ、自分が居た。






「おい総悟、そろそろ行くぞ」

「なんでィ土方さん、生きてたんですかぃ」

「生きてちゃわりぃのかよ、」

「目障りなんだよコノヤロー。」




マヨラー達に呼ばれて、沖田は文句を言いながらも

何だかんだで、楽しそうに笑っていた。


私と銀ちゃんも、マヨラーをからかう。



もう二度と出来ない事を、楽しんでいたら、沖田が私の方に振り向き一言だけ呟いた。









「じゃぁな…神楽」








二度と言わない「また明日」
《これが、私達の最後の会話になったけど、大丈夫。良い思い出になったから。》




>>配布元 ハナニクチヅケ

 

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